「技術選予選体験記5......プロローグ」
昨年の大会が終了して、昨シーズン後半に今シーズン向けて、大会で発見された自分の足りない部分を鍛えるために、5月の後半まで滑り込んだ。

とはいえ、ゴールデンウィークには一日もスキーを履かなかったし、4月も昨年は雨が多くて、歯がゆい滑り込みではあった。

そして、シーズンオフになって、千葉県の湾岸地区にあった大型冷凍庫も営業停止から解体という寂しいこととなって、体力維持もかねてインラインスケートでイメージ作りに専念。

過去に、インラインで滑り込み過ぎてスキーの感覚が鈍ってしまったこともあったので、アタマの切り替えを上手くしなくては、と思いつつ真夏の焼け付いたアスファルトの上を走り回って、わりと上手くインライントレーニングができたのか、初滑りでスキーを履いても全く違和感を感じず、滑走感は鈍っていなかった。

そして、昨シーズンの後半にトレーニングしたことと、インラインで基礎的な動きがほどよくミックスされて、初すべり後もかなり快適な滑走感覚を得て、いわゆる  調子がいい いわゆる  ゼツ好調  な状況であった。

とはいえ、ゼツ好調とは思っても、感覚的に良くても、ビデオで見ると幻滅するのだろうなぁ、というのがこれまでのスキーヤーとしての経験則から多くけどねと思いながら、ビデオ撮影を試みて、その映像を見てみると............悪くない。

うん、いい感じで仕上がってきているような気がした。

もちろん、この大会で全日本選手権に出場できるとか、上位の成績になれるとか、という滑りではないことは十分承知ではあるが、自分のイメージの中と目の前のモニターの中で滑っている私はそれほど違和感の無い滑りだった。

その調子を維持したまま、大会の2週間前に全日本選手権に出場した選手が教えてくれるというトレーニングに参加して「新たな滑り方」を教えてもらったときには、自分の滑りは大丈夫じゃろか、と心配になって。

そして、その新たな滑りで急斜面に突入したけれど、ベース能力が低い私のこと、付け焼刃的な技術で、そんな斜面を降りられるわけが無く、大転倒を演じて2年前のこの大会で痛めた古傷が再発。

大会2週間前にして肩とわき腹に大きな痛みを貰ってしまった。

新しい滑り方については、とりあえず雰囲気だけはアタマノナカに入れておいて、自分のイメージを大切にしようとココロに決める。

そーゆー意味では、大転倒というきっかけは良かったかもしれない。

大転倒は良かったとは言っても、実際滑られなくは無いけれど、この痛さはちょっち気になる存在ですな、と心配性な私の性格が見え隠れした。

痛みや、カラダを動かした感じからすると、大会までの10日間で傷は癒えると思ってはみたものの、病院に行ってみるほうが、専門家に診てもらうほうが良いじゃろな、と近所の行きつけの外科医に言ってみる。

「先生、再来週の末にスキーの大会があるので、それまでに治してください。そりがダメなら痛みだけでもなんとかならないものですかねぇ」

とお願いしてみる。

触診とレントゲンとをしてもらい、先生いわく

「スキーなんかドンドンやって良いよ。痛みは少し長引くかも知れないけれど、大丈夫だよ」

と大丈夫なのか、大丈夫じゃないのか、ちょっぴり意味不明なことを言われながら、毎日、病院に通い治療に専念(まあ、大した怪我でもないので、治療ってほどでも無いけれど)

大会当日の前日には、ほぼ痛みが「軽い筋肉痛」くらいのものになって、滑りには影響しない程度になって、一安心。

せっかく調子がいい(と思っている)ので、体調万全で望みたいもんな、と今年は大会前日から乗り込んで、最終調整を行う。
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「技術選予選体験記5......大会その1」
大会前日。

久しぶりに大会前日から大会会場となるスキー場で調整を行う。翌日から大会ということもあり、それほどゴリゴリと滑ってみても、ただただ疲れるだけだろうなぁ、と思った私は、滑り始める前から各種目を2本づつまでしか滑らないとココロに決めてゲレンデに立つ。

平日のスキー場とは思えないほどの、やや殺気立ったゲレンデに翌日から大会を迎える選手達が、ぐいんっ、ぐいんっと滑っている。

その中に混じって、急斜面での総合滑降のイメージ、急斜面でのロングターンのイメージ、急斜面でのショーとターンのイメージを作る。

予定通り2本づつ消化して、その滑りをビデオで確認して、もう少しこうした方が良いかもねぇ............と思って、もう何本滑ってしまおうか、とも考えてみたけれど、アタマノナカを「もう一本、そこがスキーの止めどころ」という、安全対策的な標語が駆け巡り、まあ中斜面で、ぼちぼちと調整して撤収するかということになった。

宿に帰って、その日に撮影したビデオを睨みつつ、シーズン当初からあった「調子の良さ」という感じが、いつの間にか「不安」に変化して、ネガティブな気持ちが強くなる。

大丈夫なんだろうか。

大会3日間で、予選、準決勝、決勝と進んでいくうちに、最終日の決勝には4分の1の選手しかゼッケンを付けていられないこの大会のシステムで、最終日まで自分自身もゼッケンを付けていられるのだろうか。

と、そんな思いを胸に、布団の中に潜り込む。

明日は大会だ。

シーズンでの一番のイベント。

これを目標に頑張ってきた部分も、スキーヤーとしての私としては気持ちの中で大きなシェアを占めている。

うん、頑張ろうと睡魔のナカに溶け込んでいく。

熟睡............という感じにはならなかったが、十分な睡眠をとって、当日の朝を迎えた。

昨シーズンまでは、とにかく大会で決勝のステージに立つという、チャレンジ的な精神で大会に臨んでいたのだけれども、昨年運良くそのステージに立てて、今年は昨年と同様に決勝のステージに立つことが出来るのだろうか、という不安が強くなってしまった。ちょっと守りに似た感じの気持ち。

宿からゲレンデに板を運び、目の前にある3セットの板を見つめる。

整地ショートで使用する板は昨年と同様の サロモン デモ10パイロット 160センチ。

今年モデルの155センチの板も自宅にはあったのだが、滑り込み度合いを考えて、リスクの少ないこの板を選択。

不整地ショートも昨年と同様に サロモン エッキプ10 168センチ。

整地ロングでは、新車を投入するけれど、基本的には昨年の古ぼけた板と同様の乗り味となる サロモン エキップ10RC 176センチ。このモデルはサイドカーブのラディウスが10メーター後半で、最近のロングターンモデルの21メーターよりも小さい。技術がチープな私のこと、曲がりやすい板を選択したかった、という意思でこのモデルとなった訳で。

そんな私の愛機たちとともに戦うよ、と気合をちょっぴり入れてみる。

大会に参加する知り合い達に、オハヨウゴザイマス調子はいかがですか、とお決まりの言葉を投げかけながら、徐々に大会開始に向けて、集中力を高めていく。

そして、急斜面の総合滑降を皮切りに、私の大会は始まった。

2週間前のこのバーンで、ハイスピードターンの途中で、左足のスキーが消息不明になって、ごろごろごろごろとゲレンデと仲良しになってしまった今シーズンの因縁の場所。

緊張度合いが最高潮に達するナカで、その気持ちに反比例して天候は快晴、その空を見上げながら、今年は調子が良いハズじゃないかと、思い直し目の前の谷底にスタートする。

何秒かでゴールして、ジャッジが下す私の判断はと聞くと、普通の点数が読み上げられる。

こんなもんですかね、と思っているとサポートから、相対的にかなり良い点数だよ、というハナシ。後から滑り降りる他の選手の点数を見ても、確かに相対的に悪くない............いや、むしろ良いほうである感じ。

これはもしや............とテンションが上がって、やる気も最高潮に達する。

いくでー、っと気合を入れるものの、この大会の場合、参加者が男子は500名弱で、女子も入れれば600名を超える選手が滑るため、滑走種目のローテーションによっては、かなりの待ち時間が発生することになる。

んで、

私の場合にも、1種目を滑ってから、この日の残り2種目を滑るまで時間が空いて。

快晴の空に眩しく輝く太陽が、だんだんと西に傾き初めるにつれて斜面は陰り、雪は引き締まり固くなり。

急斜面整地ショートは大したことは無かったが、急斜面整地ロングターンなんざ、斜面が日に陰りまったく見えない感じ。

この状態は、この大会に初めて参加したときに見た、その状態と似通っている。

あの時といえば、とにかく斜面が怖くて、挙句の果てに自分の前に滑ったその年の優勝者が、滑走最中に おっとっと とバランスを崩して、とてつもなく帰りたくなって、るるるるるるる状態であった。当然成績も最下位に近いものだった(というか、その年は全ての種目において、そんな感じであったが)

今回も、斜面を見つつあの頃と同じ気持ちにさせられて、帰りたいなぁ、もうやだなぁ、と思いながら、谷底の見えない斜面の頂上に立ちすくむ私。

ゼッケンが呼ばれて、ジャッジのスタートの合図の旗が振られて、えいっやぁ、と谷底に飛び込んでいく。

アタマノナカが まっちろ になりながらゴールする。

そんな感じで終了した種目は、当然のように点数が悪く、浮かばれないなぁ、とゲレンデを後にする。

1日を通して集中力を維持したり、滑るときの集中力のコントロールが出来たり、なかなか難しい...............というか、修行が足らないなぁ、と思ったりする。

とはいえ、初日終了時点で、総合滑降の貯金のおかげで、昨年よりも良い順位に位置することが出来て、まあよろしいのではないかと思ったりした。

そして、夜に発表されたリザルトにより、翌日の準決勝も滑られることが決まって、軽くアルコールを注入して布団に入る。
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「技術選予選体験記5......大会その2」
そして準決勝の朝。

ゲレンデ上部に登ると、かなたに富士山が見えて、いやはや絶景、絶景と思いつつ、今日は、上手く滑ろうというよりも、とりあえず一種目づつ確実に滑りましょうという感じですな、と思う。

普段から、上手く滑られない自分がいるのに、大会になって突然にスーパーな滑りが出来る訳がなく、前日の総合滑降もサポートと話した結果、ジャッジもヒトの子だから見間違いもするさ、だからあの種目のナイスな順位も幻だと思ったほうが良いのでは、という結論に達したため、ぼちぼちと行きますわ、という感じとなった。

そして、この日はこの大会の私的な第一の難関である 中斜面不整地ショート などという、この世から無くなってしまえば良いのにと半ば本気で思っている種目がある。

その種目が行われるゲレンデに行ってみると、見事にボコボコ。

個人的に嬉しくない深さのコブが所狭しと育っている。

準決勝種目の急斜面整地ロングを滑って、それなりに滑られて、相対的に見ればまあまあな点数かなと、ちょっぴり良い気分になって望んだ中斜面不整地ショート。

昨年は、ど真ん中にあるコブのアタマのみを狙って滑り降りることが出来たが、今年はそんな甘いラインは無くて、へたっぴな私は、コースの端をとぼとぼと滑りおりて点数を聞く............と、当然のように「屍」の文字が目の前にちらつき、ここで今回の大会が終わったような気がして、昔の映画の終了で出てくるような

完 ざっぱーん

という荒波の海辺を背景に「完」という文字が浮かび上がってくるような情景が目の前に見えた気がした。

とりあえず、その後に準決勝の最後の種目の急斜面整地ショートというものをテキトーに滑って、この日は終了。

かなり不安な感じでゲレンデを後にする。

夜に結果発表があり、不整地の「完」を前日の貯金と準決勝のその他の種目で補って、無事決勝に進出。ここまでは失敗もあるものの、総合順位は昨年よりも良い感じ。

明日の決勝はがんばるでー、ビールを ぐびっ と飲んで布団にGO

さて最終日。

前日にアタマノナカに「完」の文字を描き出した不整地ショートという種目ですが、なぜだか距離と斜度がパワーアップして、決勝にも登場。前日の大会で深さも満点。

そんなナカで、私は当然にコースの端を前日と同様に滑り降りる。

おりゃ、どりゃ、とココロノナカで叫びながら、コブをドッコイショと乗り越えていく訳ですが、ココロノナカの叫びであるはずの、声がどうやら実際に発声していたらしく、サポート方々に 「滑っている最中に、うぷっ、という声が聞こえましたが」 と言われてみたりもした。

うん、そうね、言ってたかもねコブの溝にドスンと落ちたときに、写真のようにピタっと止まってしまったような気がしたしね。

ゴール付近にいたスキー仲間に、演技が一時停止してしまったよ、と言ってみたなら、大人の滑りだねぇ、と言われた。

もちろん点数なんて聞かないで、てな感じで。

その他の種目もボロボロの点数で、見るも無残な点数の羅列となった決勝。結果発表を見ても、やっぱり............とため息がでちゃう感じに大幅下落。

るるるーと遠い目をしながら、前日の練習も含めて4日間過ごした車山高原スキー場を後にする。
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「技術選予選体験記5......エピローグ」
今回は、今シーズンの滑り出しからかなり調子が良い(と思っていた)感じがあり、自信は無いけれど、昨年よりは良い成績になるのではないかと期待していた半面、自分の感覚がおかしいのではないか、という不安を抱えていた。

怪我の影響は結局無く、騒いだだけに終わった感じで、重箱の隅をつつくように怪我の影響を考えれば、1日だけトレーニングがしにくかったという感じであろうか。

そして大会が終了してこの結果。

準決勝までは一応前年の順位を上回っていたので納得しなくてはならないけれど、決勝では納得もなにもあったものではなくて。

自分が調子が良くても、他の選手も1年間ぼんやり過ごしていたわけではなくて、しっかりトレーニングして調子を上げてきたヒトばかりのハズ。

であれば、少々調子が良くたって相対的な順位が上がるはずも無く、もっともっと滑って滑って、他人の倍はがんばらなくちゃ、と思う訳で。

自分の問題点が良く分かったことと、収穫はいっぱいあったけれど、忘れ物をしてきたような気がすることも事実。

あの決勝の舞台に大きな忘れ物をしたような気がする。来年、その忘れ物を取り戻すために、また1から出直す決意をココロに秘めて。

天気の良い日に、スキー場上部でビールを片手に景色を見つめるスキーも楽しい。

けれども上手に滑るという楽しみ方を、もう少しだけ追求したいと思う今日この頃。

今しか出来ないことがある。

上手に滑られるようになれば、いろんなシチュエーションに出会うことが出来る楽しみが増えるような気がする............それはアトのお楽しみということで。
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